財産保全法の危険性

現在与野党が検討している家庭連合の財産保全法案については、非常におかしな議論が行われています。

野党の法案は、解散命令の請求が申し立てられた宗教法人の包括財産を、裁判所が任命する管理人の管理下におくというものです。解散命令請求の申し立ては、所轄庁でなくとも、利害関係人でもできます。あくまで可能性としてですが、誰でも、ある特定の宗教法人を狙って、財産を包括的に凍結させることができるわけです。

これを、民事保全法と比べてみます。民事保全法は、裁判で紛争中の債権者が、裁判確定前に相手方の財産を動かせないようにして、裁判での勝訴が確定したら、その財産から弁済を受けられるようにする制度です。

財産を保全するという意味では、同じ趣旨ですが、民事保全法の場合は、仮差し押さえする財産を特定し、かつ担保金を供託しなければなりません。1000万円を仮差し押えするなら、担保金は200万円位と言われます。これは、仮差押えを乱発して、相手の財産権を侵害しないための措置です。

ところが、野党の財産保全法には、担保金などというハードルはありません。例えば、自分は利害関係人だと名乗って、ある宗教団体の解散命令を裁判所に申し立てたら、裁判所の判断次第では、その宗教団体の財産を凍結させ、実質的に宗教活動を停止させることができるのです。管理人が、教会建物の家賃を止めてしまったら、信者は出ていくしかありません。管理人の目的は、財産保全ですから、一切の支出を止めてしまう可能性があります。

これは、家庭連合だけの問題ではありません。創価学会だろうと、キリスト教会だろうと、ありとあらゆる宗教団体の活動が制限される危険性があるのです。

ここには、宗教をリスペクトするという姿勢は、一つもありません。日本がおそろしい宗教迫害国家となる日が近づいています。