解散命令請求の後の裁判所の手続き
家庭連合の解散命令請求を前提とした、7回目の質問権が行使されました。
もし、解散命令の請求が裁判所に対して行われると、裁判所はどうするのでしょうか。
裁判所が行う裁判には、判決、決定、命令の3種類があります。
判決の場合、原告と被告と裁判官が集まる期日が設定されて口頭弁論が行われます。原告と被告、証人が陳述し、証拠も提出できて、最後に裁判官が判決を出します。
憲法第82条第2項により、判決は当然として、対審も公開で行われます。
しかし、解散命令請求に関する裁判は、宗教法人法(以下、法といいます)第81条第7項に、「裁判に関する手続については、非訟事件手続法(以下、手続法と言います)による」と書いてある通り、訴訟事件ではなく非訟事件です。手続法第54条に、「非訟事件の手続においては、決定で、裁判をする」と書いてあるため、解散命令請求の裁判は、判決ではありません。
原告、被告が口頭弁論をする機会は保証されず、決定前に陳述の機会が与えられる(法第81条第4項)だけです。
決定に至る裁判所内での手続きの過程は公開されません。(手続法第30条)
判決がないので、控訴もできません。決定に対して、即時抗告(法81条第5項)ができるだけです。即時抗告は、とりあえず裁判所による執行を止める効果があるだけですから、理由がなければ棄却されてしまいます。特別抗告も可能です(手続法第75条)が、違憲判断を求める時だけ認められます。
家庭連合の信者の中にも、解散命令請求が出ても、裁判で戦えばよい、と考えている人がいるかもしれません。
しかし、テレビで見るような、弁護士が弁論を戦わせるようなシーンは、そもそもないのです。非訟事件は、迅速を旨とします(手続法第4条)から、さっさと結果が出てしまいます。宗教法人解散という、信教の自由の侵害の恐れがある判断なのに、手続きは恐ろしく簡素だと言えます。
それだけに、文部科学省が解散命令請求を出す場合、行政側の責任は非常に重いものとなります。