女性連合に対する福岡市の公共施設使用不許可処分
家庭連合の友好団体である、世界平和女性連合(以下、女性連合)が、公共施設を使うことについて、福岡市は国の方針が示されるまで許可しないことを決めたとのことです。
女性連合は、6月24日に福岡市中央区の「あいれふ」で留学生の弁論大会の開催を予定していました。これに対して市民団体の「統一教会から福岡を守る会」は、6月8日、使用許可を見直すよう市に要望書を提出しました。
これを受けて、福岡市は国が旧統一教会に対する見解を示すまで関連団体の公共施設の使用を認めないことを決め、世界平和女性連合はイベントはキャンセルしたとのことです。
https://rkb.jp/contents/202306/202306086387/
これは、憲法21条に定める集会の自由に抵触する、明らかな憲法違反です。
「第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」
憲法21条に関する最高裁の判例としては、1997年3月7日の泉佐野市民会館事件が有名です。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52449
これは、関西国際空港建設に反対する「全関西実行委員会」が、「関西新空港反対全国総決起集会」を開催する目的で、泉佐野市民会館の使用許可を申請し、泉佐野市が「公の秩序をみだすおそれがある場合」等の不許可事由を理由として、不許可処分をしたものです。「全関西実行委員会」の実態は中核派で、この申請直後に連続爆破事件を起こすなどした極左暴力集団です。
処分を不服とした原告が、不許可処分は憲法21条に違反するとして、処分の取り消しを求めて争いましたが、最高裁判所は次のように判示しています。
「人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である。」
「右集会の実質上の主催者と目されるグループが、関西新空港の建設に反対して違法な実力行使を繰り返し、対立する他のグループと暴力による抗争を続けてきており、右集会が右会館で開かれたならば、右会館内又はその付近の路上等においてグループ間で暴力の行使を伴う衝突が起こるなどの事態が生じ、その結果、右会館の職員、通行人、付近住民等の生命、身体又は財産が侵害される事態を生ずることが客観的事実によって具体的に明らかに予見された」
これを、今回の女性連合に対する公共施設の不許可処分に当てはめると、最高裁判所が公共施設の不許可処分を合憲とする要件を、全く満たさないことが分かります。
①人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越するか
イベントは、留学生の弁論大会とのことですから、該当しません。
②危険な事態を生ずる蓋然性があるか
上記の記事によれば、福岡市の藤田三貴保健医療局長は「市民の不安がある状況の中で、旧統一教会の関連団体に対して引き続き許可をするというのはやはりよくない」と言っているだけで、危険な事態を生ずる蓋然性は全くありません。
③明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されるか
女性連合は、国際連合の社会経済理事会の総合諮問資格を持つ国際NGOであり、極左暴力集団のような危険な団体とは全く異なります。
従って、今回の女性連合に対する福岡市の公共施設不許可処分は、憲法21条第1項に定める、集会の自由に反するものであり、明確な憲法違反です。対象は海外留学生であり、日本の言論弾圧を世界に向けて発信するような今回の行政処分は、憲法21条に違反するのみならず、国際的な問題であると言わざるを得ません。
