女の一生 二部・サチ子の場合
遠藤周作の作品で、「一部・キクの場合」の続編です。
長崎県の浦上地区は、幕末に、禁教令が出ていた江戸時代に信仰を貫いた切支丹がフランスの宣教師と劇的な出会いをした後、明治初期にかけて信者が大迫害を受けました(浦上四番崩れ)
そしてその80年後の1945年8月9日、浦上天主堂からわずか500m離れたところに、原子爆弾が投下されました。
物語は、原子爆弾のみならず、カトリック教徒が戦争に召集され人殺しの訓練をすることの苦悩、アウシュビッツでの大虐殺など、太平洋戦争を生きたキリスト教徒の、さまざまなエピソードが書かれています。遠藤周作が問題意識としていたことを、カトリック教徒で浦上の切支丹の血を引く主人公のサチ子に託して描いたのだと思います。
なぜ、浦上の切支丹は、江戸幕府や明治政府、そして原子爆弾による被爆と、多くの困難を受けたでしょう。
それは神にしかわからないことでしょうが、苦難を乗り越えて信仰を続けてきたクリスチャンの強さに、私は心が強く打たれました。