TBS「二世の自殺」報道の危険

TBSは、5月13日の「報道特集」で、「検証18弾・旧統一教会二世の自殺」と題して、家庭連合の二世のインタビューを中心とした番組を報道しました。予告動画は、下記の通りです。

【旧統一教会二世の苦しみ】
合同結婚の末、誕生する二世たち。
「死ねるんだったらいいやって」
自ら死を選ぶ二世信者の実情とは。
予告動画をアップしましたので、ぜひご覧ください。
https://twitter.com/tbs_houtoku/status/1656927579285389312

この番組は、人権侵害を通り越して、人命にも関わる危険なものです。理由を下記に整理しました。

  1. 親子問題を宗教問題にすり替えている

番組に登場する家庭連合二世の元信者のハルさん(仮名)は、家庭連合の信者であるご両親の信仰に基づく教育に反発し、一時は自殺も考えた、ということです。内容をよく見ると、これは宗教の問題というよりは、親子の問題です。
私も家庭連合の信者であり、子を持つ親の一人として、二世が悩み苦しむという話を聞くと心が痛みます。ハルさんが番組中で語る、「誰かに見てほしかったし、誰かに興味を持って欲しかった。誰かに愛されたかった」という言葉は、本音の言葉だと思います。
青少年が自殺をほのめかすのは、「自分は愛されていませんよ。気づいてくださいね。」というメッセージだと私は思っています。子どもが見ているのは、親がどれくらい自分を愛してくれているか、ということであって、言っていることが正しいかどうか、ということではないのだと思います。
大切なのは、親子の愛情であり、信頼関係です。それは、宗教以前の問題であって、第三者が入りこむ話ではありません。ハルさんのご両親も、いろいろ悔やむ思いもあるのでしょうし、時間が解決するということもあるかもしれません。これを宗教問題に置き換えてしまうと、親子関係をもとに戻すのは、非常に難しくなります。

2. WHO自殺報道ガイドラインに抵触する

WHOは、自殺報道についてガイドラインを設け、自殺に関する報道がさらなる自殺を助長しないよう、注意を呼び掛けています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000526937.pdf
厚生労働省は、これを引用して、報道機関に対して再三再四、注意喚起をしており、その中で、自殺関連報道として「やるべきでないこと」として、「センセーショナルな見出しを使わないこと」と明記しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/001087550.pdf
今回の報道は、自殺そのものに関する報道ではありませんが、「自殺関連報道」とも言えるものです。
青少年の自殺の動機は、親子関係、学校関係、友達の関係など複雑な要因があると思います。番組のように、「二世」と「自殺」をくっつけて、「二世の自殺」などというセンセーショナルなタイトルで報道をすれば、家庭連合のみならず、宗教を持つ家庭の子どもたちの自殺願望を助長しかねません。とても危険な報道です。

3. 家庭連合二世に対する言葉の暴力である

家庭連合の二世の方々には、信仰を持ち、祝福結婚を望む人がたくさんいます。二世の皆さんは、希望をもって信仰生活をしていて、自殺など考えていない方も多くおられるはずです。そもそも、家庭連合の教義では、「自殺」はありえません。神から与えられた命を自ら断つことは、神を裏切ることになるからです。これは家庭連合だけではなく、キリスト教全般に共通の教義であり、おそらく宗教全般に言えることだと思います。
二世の皆さんは、今回の報道により「二世の自殺」という決めつけをされてしまい、とても傷ついており、怒っています。SNSでそのような発信はしていますが、大手マスメディアの情報訴求力にはとても及ばず、世論に掻き消されてしまいます。
「二世の自殺」などというタイトルは、大手マスメディアによる言葉の暴力です。彼らは、少数の意見など踏みにじっても、良心の呵責を感じないのでしょうか。このような一方的な言葉の暴力は、許されるべきではありません。