大学の宗教迫害

10年ほど前の本ですが、当時の大学、特に国公立大学での、組織絡みの信教の自由の侵害についてのレポートです。

名古屋大学では、2008年に、大学当局と脱会請負業者が結託して、白昼堂々、15人がかりで、CARP(原理研究会=統一原理を学ぶ学内サークル)のメンバーが、研究室で暴力的に拉致され、そのままマンションの一室に連れ込まれて監禁・脱会説得される、という信じられない事件が起きました。
大阪大学では、2006年に、全入学生を対象に、カルト対策が必須科目になりました。
東北大学では、2011年に、大学のカルト対策について、CARPのメンバーが、大学に対して質問状を出したところ、教授から、就職の際の推薦状に、君がCARP代表だったことを書くぞ、と脅されました。

これらのハラスメントは、大学によって行われたもので、アカデミックハラスメント、略してアカハラというものです。

私が国立の大学に入学した40年前は、左翼が原理研究会のメンバーを学内活動から排除し暴行していましたが、大学当局は見て見ぬ振りでした。
私は、殴られて顔を晴らした状態で、学生支援課に飛び込んで、こういうことを当局は放置するのか、と訴えたこともあります。今から考えると、当局も同根で、単に左翼を泳がしていただけだったのでしょう。当時は私も、甘かったんですね。
そのうち左翼が力をなくしてしまったので、大学当局が自ら宗教迫害を始めたというわけです。

大学は、真理探究の場です。いろいろな思想や理念を、正々堂々と議論を戦わせ、思慮深く知恵のある人材を育む場所です。
それを、一方的な思想を持つ者が、他の思想を弾圧し排除するのは、近世以前の野蛮な行為です。

大学に、このような思想を持ち込んだのは、全国霊感商法対策弁護団(以下、全国弁連)です。
本書でも紹介されていますが、2006年12月4日付の、全国弁連から国立大学協会への要望書では、こんなことが書かれています。
「反社会的宗教団体に関わっている学生を大学側が特定した場合は、学生の家族に連絡し、専門家を紹介し、相談するようにアドバイスしてください。そして、学生本人に確認する前に、専門家の指示を仰ぐように指導して下さい。」
https://www.stopreikan.com/kogi_moshiire/shiryo_20061204.htm
学生の信教の自由を侵害する行為を、国立大学に対して教唆している、確信犯的文書です。

岸田政権は、この全国弁連の弁護士を、政府の諮問機関に招聘し、家庭連合潰しを無批判に突き進め、目下解散命令請求に向けて準備中です。所轄庁は、大学教育を管轄する文部科学省です。かつて大学内だけで行われていた宗教迫害が、国家レベルで行われるようになりました。

一連の宗教迫害の根がどこにあるか、明らかです。
岸田政権は、世論や支持率に右往左往するのではなく、正義に基づいた施策を行うべきです。