LGBT・同性婚を考えるために

2019年5月に、結婚・家族問題研究所が作った小冊子です。
現在、岸田政権によって、LGBT理解増進法、同性婚制度、夫婦別姓制度などが検討されていますが、この問題については、慎重な検討が必要です。
この小冊子では、エビデンスを上げながら、9つの論点を指摘しています。いろいろとご意見はあると思いますが、この問題を考える上で参考になるため、抜粋します。

①LGBTの実際の割合は?
性的少数者と呼ばれる方々は、2015年に電通ダーバーシティ・ラボが発表した、「人口の7.6%」という数字が頻繁に引用されるが、国民の11人~13人に一人が性的少数者ということになり、我々の実感からは乖離があり、数字の正確性に疑問がある。

②同性婚を認めないことは差別なのか?
婚姻制度は、単なる私的恋愛関係ではなく、次世代を産み育てる家庭という、社会の基本単位に関わるものである。そのために、届け出、貞操、相互扶助などの義務を課す一方、相続や各種税制での保護・優遇を与えている。
差別ではなく、合理的な理由に基づく区別をしているのである。

③同性カップルの子育ては認めるべきか?
育てられる子どもから、「父母に育てられる権利」を尊重すべきである。

④同性婚の実際のニーズは?
大都市圏を中心に、同性パートナー制度の導入が進んでいるが、実際の申請数は非常に低い水準にとどまっている。(制度導入から1年以上が経過した自治体での平均は0.37%、2019年3月時点)
課題の多くは、現行法で対応が可能であり、メディアの過剰な報道とは実態に乖離がある。

⑤子どもに「多様な性」教育は必要か?
「多様な性」教育の中身は、人の数だけ性別があるという思想で、「性的少数者への理解、配慮」を越えて、男女の性別事態を曖昧にする危険な考え方であり、子どもたちの健全な性意識の発達を妨げ、混乱をもたらしている。

⑥安易な性別移行に警鐘を
性別の移行は身体的、社会的に大きなリスクを伴う。思春期前の子どもが抱く性別への違和感は、成人するまでに73~88%の確率で解消するとされている。(世界トランスジェンダー・ヘルス専門協会)
性別移行後に、思い込みだったと気づくケースもあり、取り返しのつかないことになる危険がある。

⑦言論、思想、信条の自由は大丈夫?
現在の日本では、性的少数者の運動に対して、少しでも批判すると、「差別主義者」と決めつけられ、炎上する風潮がある。2018年7月の、杉田水脈衆議院議員の寄稿で、「生産性がない」という発言を切り取られて、各方面から集中攻撃を受け、異常な反応は常軌を逸していた。性的少数者の人々が、生きづらいと感じるものは、なんでも差別と決めつける風潮は、公共の場で、性に対する規範や、一夫一婦の結婚の大切さを話すことすら難しくし、逆差別が発生する。

⑧異論を認めない運動は社会を分断する
米国で、性自認・性的嗜好による差別を禁じる州法などにより、同性婚のフラワーアレンジメントを、キリスト教の信仰を理由にサービスの提供を断った花屋が訴えられ、罰金を支払ったケースがある。「寛容・多様性」を掲げる人々は、概して反対の意見を持つ者に対して「不寛容」であり、「攻撃的」ですらある。

⑨性的少数者の人生にも多様な選択肢を
性的少数者にとって、性自認をありのままに認めることが性的少数者にとって最善だと主張しているが、当事者の中にもいろいろな考え方があり、過激な運動に疑問を感じる声もある。

家庭連合の教義では、命は神から与えられたものであり、性別も神が決めたものであって、自分で決めるものではありません。そして、性自認で苦しんでいる方がいることは事実であって、それは理解するべきと思います。
しかし、性別は自分で決めるものだとし、日本の伝統的な価値観を否定し、男性と女性のそれぞれの尊厳性を否定するような考え方には、反対です。