朝鮮戦争
NHKのドキュメンタリー番組 バタフライエフェクトで、2月13日に放映された、「朝鮮戦争〜そして核はばらまかれた〜」は、1950年から1953年まで戦闘が行われた、朝鮮戦争についての記録です。
https://www.nhk.jp/p/ts/9N81M92LXV/episode/te/268ZY7WZ1N/
1945年8月9日、第二次世界大戦終結のどさくさに紛れて、ソ連が日ソ不可侵条約を破って南進を始め、共産主義圏を拡大する膨張政策を進めました。
1948人には朝鮮民主主義人民共和国、1949年には中華人民共和国が設立され、あっという間に極東が赤化されました。
さらに、1950年6月25日に、北朝鮮が、38度戦を越えて韓国に侵攻し、3日で首都ソウルを陥落し、1か月で国連軍をプサンまで追い詰めます。
第二次世界大戦中の、日独伊の帝国主義対米英仏の連合国という世界地図が、わずか5年で、共産主義陣営対民主主義陣営という構図に、書き変わってしまいました。
番組のサブタイトルは、核兵器の拡散です。
こうした世界情勢の激変の中で、マッカーサーが核兵器使用も辞さない強い姿勢であったことに触れて、共産主義陣営の、スターリンや毛沢東、そして金日成が、核兵器を手に入れることに、いかに執着したかに、触れています。
しかし、番組が描き出したもう一つのテーマは、マッカーサーが、日本とアジアの安全保障に、いかに大きな影響を与えたか、という点だと思います。
マッカーサーは、1950年9月15日に、圧倒的に劣勢におかれた国連軍を回復するべく、起死回生の一手として、仁川上陸作戦を奇跡的に成功させました。仁川は干潮と満潮の潮位の差が激しく、上陸は不可能に近いと言われていましたが、マッカーサーはそれを断行したのです。
マッカーサーの仁川上陸作戦がなければ、朝鮮半島は赤化されて、共産主義陣営と民主主義陣営の境界線は、38度線ではなく、玄界灘となっていたでしょう。そうなれば、日本の安全保障の脅威は、今よりももっと深刻なものになっていたと思います。
番組では、興味深いエピソードにも触れています。
マッカーサーは、共産主義陣営の勢力に退化するため、戦後の日本統治の方針を大変換し、公職追放令を解除しました。それで政界復帰したのが、当時A級戦犯容疑者として追放されていた、岸信介氏です。岸信介氏は後の首相になり、日米安全保障条約を改正し、今日の日本の安全保障の基礎を作りました。
さらに、仁川上陸作戦で、当時、北朝鮮の強制労動収容所に収監されていた文鮮明師が解放されました。文鮮明師は後に国際勝共連合を設立し、世界中で共産主義の脅威を主張するようになりました。
岸信介氏と文鮮明師は、共産主義に対峙する立場で、信頼関係を築くようになったことも、番組では触れています。
マッカーサーは、意図せず、戦後共産主義に対する強力な対抗勢力を作ることに寄与したことになります。
マッカーサーは、第二次世界大戦を終結させたのみならず、現在の極東の政治情勢に大きな影響を与えたことは、記憶に留めておくべきと思います。