解散命令に関する法令の整合性
家庭連合の解散命令請求を前提とした、文部科学省による質問に対する3回目の回答書が、家庭連合から提出されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230207/k10013973231000.html
これに関連し、法人解散について、会社法と宗教法人法が、解散命令に関して、どのように規定しているか、整理してみました。
会社は、誰でも設立登記できますが、宗教法人は設立において、都道府県知事か文部科学大臣による規則認証が必要です。信教の自由に関わるのですから、宗教法人法の方が、設立について、より厳密です。
解散命令についても、信教の自由に関わるのですから、宗教法人法の方が、会社法より、要件が厳密であってしかるべきですが、実際は逆です。
会社法824条で定める解散命令の要件は、下記のとおりです。
会社法第824条 - Wikibooks
公益を守るため会社の存続を許すことができないときで、法務大臣等の申立てにより(第1項前半)、
①役員が、法令若しくは定款で定める会社の権限を逸脱し若しくは濫用する行為をした場合
②または、刑罰法令に触れる行為をした場合
③①と②において、法務大臣から書面による警告を受けたにもかかわらず、なお継続的に又は反覆して当該行為をしたとき。
一方、宗教法人法第81条で定める、解散命令に関する規定は、次のとおりです。
宗教法人法 | e-Gov法令検索
文部科学大臣等の請求により(第1項前半)、
① 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたとき
②宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたとき
会社法では、役員の権限逸脱濫用と並列して刑法違反が記載されており、違反の程度の具体的な基準が判断できます。宗教法人法は、「著しく公共の福祉を害する」と書いてあるだけで、具体的な基準がありません。
また会社法では、所轄大臣から書面の警告を受けて、それでも従わない場合に解散命令が出されますが、宗教法人法では、事前の警告なしで、一発で解散命令です。
つまり、解散命令の要件については、基本的人権の侵害の危険がより高い宗教法人法の方が、一般企業に適用される会社法より、要件がゆるいのです。
解散命令に関する規定という点で、会社法と宗教法人法の、整合性には、問題があります。
法律自体は、その成立過程や、所轄官庁などで、要件などに違いがあるのは、ある程度やむを得ません。
従って、法律を運用して、宗教法人の解散命令請求を行う文部科学省には、より公正な運用を行う責任があり、重い責任が求められるのです。
日本政府は、世論に流されて、安易に解散命令請求を行うべきではありません。