中国での宗教迫害
私は、以前勤めていた会社で、中国国内の関係会社に出向していた時期があります。20年も昔の、2000年代の初め、中国が解放政策に転じ、経済がまさに爆発的拡大をしようとしていた時期でした。
共産党独裁の国だから、家庭連合の信者はいないだろうな、と思い、自宅を教会にして、家庭礼拝を行っていましたが、1年くらいして、何人かの信者がいることがわかりました。
反共を掲げる家庭連合が、中国で公認されるはずもなく、信者たちは、アパートの一室を借りて、ひっそりと礼拝を捧げていました。そのアパートも、転々と引越して、一カ所に長くいることはありませんでした。いつ公安(警察のこと)に踏み込まれるか、わからなかったからです。
文鮮明師ご夫妻の写真や、書籍類を預かって欲しいというので、私の家に預かっていた時期もあります。外国人の家なら、少しは安全だろう、というわけです。
若い男性の信者が、公安に拘束され、連絡が取れなくなったことがありました。彼は戻ってきましたが、かなり殴られていました。
また、ある信者は、地方都市の実家に帰省したのち、連絡が取れなくなりました。
私は、その信者の実家を訪ねてみました。本人は出て来ずに、親戚と称する男性が出てきて、倉庫の一室のような暗い所に連れて行かれました。
親戚に共産党の幹部がいるという話は聞いていたので、さすがにこれはまずい、と思いましたが、それでも本人に会いたいと交渉しました。
結局会えずに、私はそのまま帰ることとなりましたが、さすがに緊張しました。
私自身の生活面でも、家の電話をとると、ブーンという音がしていたので、盗聴されていたのかもしれません。
NHKのワールドニュースは、中国に都合の悪い場面は全てスクランブルがかかってしまうし、言論統制がされている国の実態を見ました。
数年後、私は転勤で、中国から離れました。
20年も昔の話で、あの時の信者たちがどうしているのか、私にはわかりません。
習近平政権になり、言論統制が強化されていますから、もう信者たちは、いなくなってしまったかもしれません。
信教の自由がない国の怖さの一端を、私は経験しました。ローマ帝国時代の、キリスト教迫害時代の、地下教会のようなものです。
日本が、そんな国にならないよう、祈るばかりです。