テレビメディア取材の編集
テレビメディアの取材で、問題と思われるのは、その編集の仕方です。テレビメディアの取材とは、予めストーリーを作っておき、その筋書きに沿って素材を集めるという作業のことを言うようで、ストーリーに合わない素材は、全て外されてしまいます。
典型的なのが、2022年8月29日に放送された、NHKによる、国連NGOであるUPF(Universal Peace Federation) ジャパンの、梶栗正義会長へのインタビューです。梶栗会長については、私も時々セミナーなどでお話を聞いたことがありますが、世界情勢を正しく見極め、広い視野を持った立派な人物だと思います。
しかし番組では、①家庭連合から関連団体への寄付、②安倍元首相に対するUPFのイベントへのビデオメッセージの依頼、の2点のみを切り出し、家庭連合と政治家が癒着しているかのようなイメージの編集をして、電波に乗せました。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4695/#p4695_04
しかし、実際の取材内容は90分にもおよび、その取材ノートがNHKのホームページ上に掲載されています。
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pNnj4kdxEN
この2つを比較すると、梶栗会長の下記の重要なメッセージはすべてカットされたことがわかります。
①政治家が、UPFが掲げる反共、安全保障、平和、家庭といった理念に賛同し、UPFとつきあうことは、何の問題もないこと。
②安倍元首相は、政治家として、UPFの平和運動の取り組みを評価し敬意を示したのであって、教会の活動にお墨付きを与える目的・意図はなかったこと。
これらは、政治家と宗教団体は、どのようなスタンスで交流するべきか、という点について、梶栗会長が、明確に意見を述べた部分です。
もしこの意見に沿って、自民党が毅然とした態度で与党に対応していたら、2022年10月3日に召集された第210回国会において、自民党の議員と家庭連合の接点などという次元の議論で、国会の貴重な時間が空費されたり、閣僚が罷免されたりするようなことは、なかったかもしれません。
テレビメディアは、取材をする際に、取材に協力した人の誠意を裏切るような編集は、するべきではありません。そうしなければ、重要なメッセージが消されてしまう危険があるのです。