資本論(5)
流通という過程を経た、単純再生産、拡大再生産について、書かれています。
資本論の一貫した命題は、価値を生み出すのは労働であって、資本自体は価値を生まないというものです。
資本は生産の過程で労働により商品となります。この商品は労働者に購入され、消費されます。労働者はそれによって労働力を維持します。労働者は資本家に労働力を提供し、新たな商品を生産します。
これが繰り返される間に、剰余価値が蓄積され、資本家の資本が増えるというわけです。
流通も、生産手段に関わる第一部門と、消費手段に関わる第二部門に分類されます。
詳しい計算式が登場しますが、労働のみが剰余価値を生む、という前提は崩していません。だから、資本そのものが価値を生むという現象、例えば利息とか、株式の配当、相場による投資益、さらには政府の財政投融資による需要創出、といった論点はでてきません。
現代の複雑な経済情勢を説明するのは、難しそうだと、思いました。
