斎藤隆夫 回顧七十年
斎藤隆夫は、大正から昭和にかけて、衆議院議員を務めた政治家です。1936と1940年に、議会にて自らの信念に基づいて議会演説を行いました。1936年の演説は、二・二六事件の直後に行われたもので、軍部による政治への介入を戒めたもので、「粛軍演説」と呼ばれました。1940年の演説は、膠着していた日中戦争に対する政府の見解を質したものです。1940年の演説の後、軍部を批判するものだとして、議会が圧力を受けて、齋藤隆夫は衆議院議員を除名されます。
本の巻末にある、2つの演説を読んでみると、正々堂々とした正論を述べた、立派なものです。
当時の世論は、戦争への道を突き進んでいた軍部や政府を支持していました。マスコミは世論に迎合し、それを煽っていました。そのような中で、軍部の圧力や世論に屈することなく、自らの信念を主張して議会演説を行った政治姿勢は、今日にまで残るものだと思います。