反社会的団体について

家庭連合(旧統一教会)について、「反社会的団体」である、という報道が多くみられます。「社会的に問題が指摘されている団体」というような表現もあります。もともと「反社会的勢力」という言葉があり、紛らわしいです。

「反社会的勢力」というのは、暴力団を言い換えた言葉です。暴力団については、暴力団対策法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 1992年3月施行)があり、ある団体が、公安委員会により、暴力団と指定された場合は、様々な私的権利が制限されます。

暴力団は、このような取り締まりを逃れるために、企業活動を装うなど活動を不透明化させました。その対策として、一般企業が取引を行わないように、政府が作成した指針が、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について(2007年6月19日、犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)」です。ここでは、暴力団を「反社会的勢力」と称し、これを社会から排除していくべきことが明記されています。

ある団体の私的権利を制限し、社会から排除するということは、憲法における基本的人権に係ることですので、きちんとした事実確認と、法令に基づいて行われるべきです。「反社会的団体」や、「社会的に問題が指摘されている団体」のような曖昧な表現で、このようなことが恣意的に行われないよう、気を付けるべきだと思います。