資本論(二)

第二巻では、労働力のことが延々と書かれています。いかに労働者が過酷な条件で働かされているか、とくに子供や婦人が生存に最低限必要な時間以外は全て労働時間させられているか、これでもかというくらいに書かれています。

今の時代では、ちょっとあり得ない環境だし、そんなブラックな企業には労働者は集まらないでしょうが、資本論が書かれた150年前は、それが当たり前だったのでしょう。

マルクスは、それは資本の本質で、労働者から、価値の源泉である剰余価値を奪うものだと、言っています。

私は、商品の価値を決めるのは市場であって、労働力のみが価値を生むとは思いません。労働力は、つまり人件費であり、機械の減価償却費や、水光熱費と同様、費用の費目の一つです。商品は、売れなければ価値を生みません。どれだけ労働力をかけても、売れなければ単なる在庫であって、いつかは処分しなければなりません。

労働条件はそれとは別の話しで、労働者が喜んで仕事ができる環境を企業が提供しなければ、良い労働者は集まらないし、労働者は消費者でもあるので、商品は売れなくなり、結局そのような企業は市場で淘汰されます。

ただ、そのようなことがいえるのも、労働条件を、改善するための、不断の努力が積み重ねられた歴史の賜物なのかもしれません。