聖アウグスティヌス 告白(上)

アウグスティヌスは、ローマ末期のキリスト教会の司教、神学者で、聖人に列せられています。

若い頃は、多くの女性と交わり、窃盗をし、自らの罪に苦しみ、キリスト教を否定するマニ教に没頭します。そこに救いはなく、心の理想と肉的な欲望との矛盾に苦しみます。

しかし、敬虔なキリスト教徒である、母モニカの祈りが通じたのか、32歳でキリスト教に帰依します。母モニカは、その翌年、アウグスティヌスの回心を見届けるかのように、熱病で亡くなってしまうのです。

1600年も前の本ですが、とても生々しく、自分の罪と、神との出会いを告白しています。

自分の罪を悟り、悩み苦しんだ結果、人間を超越した存在に救いを得るというのは、程度や方法の差はあっても、宗教者の共通の行程なのでしょう。その背景に、無条件に祈る母の存在があるというのは、多くの人々の共感を得るものだと思います。

高校時代に、この本を読んで、全く理解できずに上巻で放棄しましたが、今読むととても興味深いです。下巻も是非読んでみたいと思います。