細川ガラシャ(下)
細川ガラシャは、豊臣秀吉の世になり、夫の細川忠興が出陣した後、豊臣秀吉の人質になることを拒み、侍従に自分を殺させます。人質になれば、秀吉の自由にされてしまいます。人質にならなければ、忠興の立場が不利になります。自害せずに侍従の手にかかるのは、キリスト教の教えで自殺が禁じられているからです。
この知らせを聞いた忠興は、号泣したと言います。
信仰のために、自らの命を喜んで捧げるというテーマは、作者の三浦綾子の代表作でもある、塩狩峠に通ずるものがあると思います。人は誰しも自分の命が惜しいのに、それを喜んで差し出すというのは、どのような心理背景なのでしょう。イエス・キリストが十字架で亡くなったので、同じ立場で昇天することを、喜びとする、その情景を描き出しているわけです。
信仰する者は、命を軽んじているわけではありませんが、命より大切なものがあると思っているわけです。
いろいろと考えさせられるテーマだと思います。
