ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦術
著者の遠藤誉氏は、筑波大学名誉教授で、中国問題グローバル研究所所長で、今回のロシアによるウクライナ侵攻に対する中国の立場を論じています。
ウクライナは、ロシアによる侵攻を受けていますが、それをそそのかしたのはアメリカのバイデン大統領だと言っています。
ウクライナはNATO加盟を欧米から求められ、バイデンはオバマ政権での副大統領の時代から、ウクライナがNATOに加盟した暁には全力でウクライナを守ると言いながら、昨年12月にプーチンに対して米軍はウクライナについては軍事的な関与をしないとコメント、プーチンはウクライナ侵攻に至った、というわけです。
こうした中で、習近平は今年秋の党大会で、3期目の国家主席となるための基盤造りをしなければならないから、台湾への侵攻などのリスクは侵さず、状況を眺めながら最も中国に有利な駆け引きをしているということです。
確かにアメリカは、自らは安全な場所にいて、LNGの価格が跳ね上がって輸出量も増え、多くのメリットを享受しています。
バイデンが、本当にプーチンがロシア侵攻を誘導することを目標に行動してきたのかはわかりませんが、ロシア、米国、中国、EUの大国の利害が様々に絡むなかで、ウクライナの国民が苦しみを受けているのは、事実だと思います。
日本では、ウクライナの被害に対する人道支援というような情緒的な観点でしか報道されていませんが、大国の思惑や利害などを、正しく理解し、自分たちとしての考え方を持つことが必要ではないか、と思いました。