太宰治
戦前から戦後にかけて活躍した小説家、太宰治の作品集で、斜陽、人間失格などが収められています。
共通して描かれているのは、自分に対する絶望、酒や麻薬、女性に溺れる生活、そして自殺願望です。
「人間失格」には、こんな文章があります。
「…これ以上は世間が許さないからな。」
世間とは、いったい、何のことでしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。
誰にだって、人の眼が気になって、言いたいことややりたいことができないことが、あると思います。私だってそうです。こんなことを言われるんじゃないか、などと気になるわけで、ストレスというのは、そういうところからくるのだと思います。
それを跳ねのける、強い人もいるけれども、多くの人はそれを避けて、無難に過ごそうとするわけです。まじめに考えたら、世間の中で生きていくことが、いやになってしまうかもしれません。
太宰治は、作家としては成功していながらも、昭和23年に玉川上水で入水自殺しました。今の社会にも、共通する部分が、あるように思います。