プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
今から100年以上の1905年に、資本主義の成立と、マルチン・ルターから始まるプロテスタンティズムが、大きな関係があると論じた、マックス・ヴェーバーの有名な著作です。
私はこの本をテーマにして、大学の卒論を書きました。あれから30年以上経って、再び読んでみましたが、難しくてよくわかりませんでした。多分当時もほとんど理解していなかったと思います。
訳者(大塚久雄)が、わかりやすい解説を書いていて、それでなんとか概要が分かりました。
宗教改革前のカトリックも、そして宗教改革の当事者であったルターも、世俗的な営利活動、つまりは金儲けは、軽視されていました。しかし、近代の資本主義の成立には、利得を目的とする活動は神が与えた天職であって、信仰のゆえに勤めを果たすべきである、というのが、英米の新プロテスタンティズムの倫理であるというのです。
東洋や中世など、歴史上金儲けは広く行われてきたが、それだけでは資本主義は成立しなかった。貨幣を増やすことが、天から与えられた使命であると考えるからこそ、資本を減らすような浪費をせず、投資をして資本を増やし、循環させるという資本主義の精神が育てられたというわけです。
この本が書かれた当時と現代では、資本主義の性質も環境も大きく変わってしまっていますし、現代において、宗教的な価値観と経済活動は必ずしもリンクしませんが、倫理的な価値観と経済が、絡み合いながら歴史が動いてきたとすれば、とても興味深いことだと思います。