学問のすすめ

お正月に、Book Offにいって、新書を何冊か買ってきました。この10年というもの、試験勉強のためにテキストや過去問以外の本をほとんど読んでいません。8年間落ち続けた司法書士は、今年は受けないことにしましたから、その時間はいろいろな本を読んでみようと思います。気の向くまま脈絡もなく買ってしまいました。乱読もいいところですが、読んで思ったことを書いていきたいと思います。

まずは、慶應義塾を設立した福沢諭吉の、「学問のすすめ」の現代語訳を読みました。本のタイトルと、冒頭の「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」という部分は有名なので、私も知っていましたが、内容はあまり知りませんでした。

「学問のすすめ」は明治4年に書き始められたものですが、読んでみると、個人と国の在り方について、日本と外国との関係について、極めて明快に説明しており、現代においてもとても参考になると思いました。

こんなことが書かれています。

・人は生まれながらに同じ権理を持っており、国家と市民はお互いに義務と権利を持つ契約をしているのであって、価値の違いではない。

・学問とは、単なる知識ではなく、普通の生活に役に立つ実学である。

・人は独立の気概をもってこそ相手を尊重するのであって、一方的な依存関係は正常なつきあいをすることはできない。

・国家間の関係も同様である。

・こういう天の道理を知ることこそ、学問の目的である。

国民を愚民と断定するなど、そのまま現代に当てはまることはできません。しかし、封建社会から市民社会への移行期に、当時からすると極めて先進的な考え方を主張したのは、驚異的だと思います。そして、現代において、150年前から全然進歩していない部分があるということに、改めて気づかされます。

・税金を払うことをごまかし、国に文句ばかり言っている。

・問題があってもまっすぐ向き合わず、将来に先送りばかりしている。

・自国の安全保障について関心も持たず、他国が助けてくれるだろう、と安易に考える。

現代の日本を見て、一万円札の中から、諭吉先生が嘆いていているのではないでしょうか。