日本の未来と家庭再建(9) 親世代の結婚を見つめなおそう
非婚化・晩婚化に歯止めをかけるには、価値観の問題を避けて通ることができません。では、どうして結婚や家族の形成に価値を感じない若者が増えたのでしょうか?これは、若者の問題というよりも、親世代の結婚のあり方が大きく影響しているのです。
子供たちは、親の姿を見ています。両親が幸せな結婚生活を送っていれば、自分たちもそのような人生を過ごしたい、と思うものです。反対に、両親がいがみあい、自己主張を続け、冷たい空気が家庭に流れれば、子供たちは結婚生活に対する憧れを失ってしまいます。
実際、日本財団が行った第三回18歳意識調査(2018年10月)の結果では、自分が育った家庭のような家庭を築きたいと思う若者は、結婚したい割合がほぼ9割でしたが、そう思わない若者は、結婚したい割合が約6割にとどまり、非常に大きな差がつきました。
未婚男女には結婚生活の経験はありません。彼らの結婚観を左右するのは、両親をはじめとする周囲の大人たちの結婚生活なのです。メディアでは連日著名人の不倫や離婚のニュースが流れてきます。自分の親が結婚生活に対する愚痴や不満をもらしたり、目の前で喧嘩を繰り返していれば、どうして子供たちが結婚に対して希望を抱くことができるでしょうか。
働く女性のために、待機児童問題が取り扱われますが、子育てが喜びという視点ほとんど取り上げられず、子育てが負担というようなマイナス面ばかりが強調されています。その結果、保育園を増やす方向に政策が進んでいますが、これにはコストがかかります。経済的な理由で働かなければならない育児世代に対しては、経済補償をする方が、財政的にも有利です。なにより、出産後子供たちと過ごす時間をゆっくりとって、子育ての喜びを経験することが、その後の家族形成にもよいはずです。
結婚に対する価値観を、よりよいものとするためには、子供たちに対する大人や社会の責任は少なくありません。現代の若者たちの指摘をする前に、まず親世代が自らの行動を反省し、よりよいものとするという自覚が必要なのではないかと思います。