日本の未来と家庭再建(8) 結婚文化が衰退した理由
ここまで孤立社会がもたらす問題を見てきました。人間は一人で生きることはできません。孤立した人を作らないためにも、非婚化・晩婚化の流れを食い止め、離婚を減らす取り組みが必要です。
ではどのようにしたら、若者は結婚するようになるのでしょうか。一般的には、経済的な理由が指摘されています。正規雇用が増え、安定した収入がないために、結婚することができない、というものです。
しかし、今よりもっと経済的に大変な時代でも、日本人は結婚し、子供を産んできました。もっとも出産数の多い団塊の世代は、昭和20年から24年生まれですが、それは戦後間もない焼け野原の中で、経済的には最も厳しい時期でした。発展途上国ほど出産率が高いことを考えても、経済的な問題を出生率の低下であると説明するのは、難しいようです。
2018年2月の内閣府による20代~40代の未婚男女の意識調査で、「あなたは将来結婚したいと思いますか」という質問に対し、明確な期限を切って結婚をしたいと回答した人は3分の1程度でした。逆に、「いずれは結婚したい」「結婚するつもりがない」という消極的な回答は、全体の6割以上だったのです。
そして、結婚するつもりがない人に理由を聞くと、お金がないと答えた人は3分の1程度にとどまり、「1人の方が気楽」、「結婚は面倒」、「一人でも別に困らない」、などの回答が大半でした。つまり、結婚しない理由は、結婚や家族の形成に魅力を感じていないというものが多く、これは結婚に対する価値観の問題であると言えます。また、「結婚できない」という理由については、「出会いがない」という回答も少なくありませんでした。
このように見てみると、「結婚の価値がわからない」、「出会いがない」、と言う問題を解決しなければ、非婚化・晩婚化の流れが止まらないと思います。未婚化・晩婚化の問題は、日本の社会の意識の問題であるともいえるのです。